《第50号》がん悪化?≪おばあちゃんの手当て法≫を馬鹿にしてはいけない

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薬食同源とは≪食は薬と同じ効用がある≫ いや≪食には薬に勝るパワーがある≫という中国古来の食思想です。そこで編み出されたものが「漢方薬」であり、「薬膳料理」ですね。

日本では、≪医薬同源≫と造語されましたが、穀物や根菜の食材そのものを活用する≪民間の療法≫が古くから ≪おばあちゃんの手当て法≫と呼ばれて伝えられて重宝されてきました。

ちょっとした腹痛や風邪には≪身近な食べ物を使った家庭療法≫が 盛んに使われたものでした。 しかし、いまはコンビニにもレトルト食品蔓延、さらに西洋医学万能の時代です。
「そんなものは非科学的でまやかしだ」と笑われてしまいますが、「なんとなく冷えてからだの具合が悪い」「原因不明の頭痛に悩まされる」といった、 腰痛、頭痛、生理痛や不定愁訴のような複雑病には、結構この日本古来の≪民間の手当て法≫の知恵が役立つことがあるのですね。

人間のいのちって、とても複雑・怪奇なものなのですから、とてもとても≪10÷5=2≫のように単純な医学や科学で割り切れません。
とくにガンの患者は冷えたり、風邪を引いて免疫力が下がったりすると、急激に症状が複雑に悪化することがあるのですが、大学病院に行けば抗ガン剤や抗生物質などの化学薬をくれるだけですから、僕の周りにはガンそのものというより、強烈な薬の副作用が嵩じて、いのちを縮めていった人がたくさんにました。本当に悲しいことでした。

しかし、そうした危急の事態になる前には、かならず、腰に激痛が走る、偏頭痛が激しい、足先が冷える・・・などなど、具合が悪くなる予兆を患者自身は感じるものです。 僕も、厳寒の冬や梅雨時の変わり目に具合が悪くなって、スワッ、ガン再発か転移かと、よくあわてたものです。

病院で血液検査をすると「ちょっと数値が上がっています」 などと脅かされるのですが、原因はたいていがわからないのです。最後は「それは加齢ですね。ハハハ」とあしらわれ、また、わけのわからない薬を持たされることが何度もあり、これは、いったい喜ぶべき話か悲しむべきことか?迷ったものでした。

僕たちが嗜んでいる≪マクロビオティック食養生法≫では、そうしたとき、この「おばあちゃんの手当て法」といった≪身近な食べ物を使った民間療法≫が重宝がられております。腹水の溜まってしまった胃ガンの患者さんが、練った蕎麦粉を和紙に塗り、腹に貼って溜まった水を出す≪蕎麦パスター≫という手当て法で症状を改善させたケースも知っています。

「鰯の頭も信心から」ではありませんが、僕自身もなんどか≪おばあちゃんの手当て法≫に救われたことがあります。前にも少し書いたかも知れませんが、この冬に、夜中に何度もトイレに起きる頻尿に見舞われたことがありました。スワッ?これは前立腺肥大?いや前立腺ガンかも知れんとあわてて、泌尿器科に駆け込むと 「50歳を過ぎると男なら誰でもなる病気です」と軽くあしらわれ、尿道の筋肉を緩める薬やら血圧を下げる薬をくれるだけです。

仕方なしに、こんどは外科医に相談したら 「いつでも手術しますよ」といいます。これはたまらんと思い、
持病の椎間板ヘルニアのせいで神経が過敏になっているのだろうと判断して整形外科医に行ったところ鎮痛剤を渡されるだけでした。

とにかく、いまの病院は縦割りの専門制ですから、 頻尿一つでもあちこちとタライ回しに合うわけです。
それで原因がわかり、症状が改善すればいいのですが、ますます、頻尿は悪化していきます。寝床に入ると足先が冷えて、真夜中に三度も四度もトイレに立ちます。

やはり、自分の体は≪他人様にはわからんのだなあ≫ ≪体丸ごとを診断できる医師はいないのだなあ≫と思い直して、最後は≪おばあちゃんの手当て法≫を思い起こすわけです。寝る2時間ほど前に、風呂で≪半身浴≫をしたり、洗面器のお湯で足を温める≪足湯法≫をやりました。また、枇杷(びわ)の葉のエキス液を患部に塗り、上からお湯で温めたタオルで蒸す≪びわの葉温灸法≫もやりました。

もちろん、寝る前に冷たい飲み物は厳禁です。 さらに、知り合いの鍼灸の治療師に4回ほどかかったのですが、あらあら不思議、病院の検査でも前立腺の肥大が収まってしまったのです。

しかし、これでも油断はならんと思い、まだ日本が貧しかった子供のころ、足袋(たび)に唐辛子を入れて通学してきた男の子のことを思い出して、 5本指靴下に≪唐辛子の粉≫を少量いれて寝たのです。これで冷えから開放され、いまは快適な状態に戻りました。唐辛子に含まれるカプサイシンが皮膚表面の血行を促進し、体を温めるらしいのですが、肌荒れに敏感な人は唐辛子をガーゼにくるんだ方がよいでしょう。

ま、季節も暖かいこともあるでしょうが、ことほど左様で≪おばあちゃんの民間療法≫とは、無下に馬鹿にはできないものなのです。