第10回 国際統合医学会学術集会取材報告

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7月18日(土)東京コンファレンスセンター・品川の会場にて、私共と親交のある医療法人社団博心厚生会九段クリニック理事長・医学博士阿部博幸先生が理事長を務める「国際統合医学会」の第10回統合医学会学術集会に取材へ行って参りました報告です。

今回の学術集会の会頭が国際統合医療教育センターの柳澤厚生先生が務め、柳澤先生は「日本腫瘍学会」の理事長でもあり、その「日本腫瘍学会」第5回学術集会の会頭が阿部先生が選ばれたため、両学会による合同学術集会の開催となりました。

健康養生塾代表:大屋 玲子

今大会のメインテーマが「統合医療と最新の機能性栄養学~明日から実践できる新技術を学ぶ」会でした。

内容としては、下記にまとめました4つの特別講演と会頭講演を主軸とした盛り沢山のプログラムでした。

各分野で活躍している先生たちによる学術的なご講演のため、参加者のほとんどが医師か学者、または研究員でした。学術的な講演会のほか、サプリメントやビタミンC、点滴療法を紹介する企業のブースも20社ほどが参列しました。

右から2人目が阿部博幸先生

会頭講演

講演1 国際統合医療教育センター所長、元杏林大学教授の柳澤厚生先生による「統合医における点滴療法の実際」
<講演概要>統合医療の新しい手法として点滴療法が注目されています。代表的な統合医療的な点滴療法として、マイヤーブカクテル(アレルギー疾患、腺維筋痛症、慢性疲労症候群など)、グルタチオン療法(パーキンソン病、重金属解毒)、高濃度ビタミンC点滴療法(ガン)、キレーション療法(虚心性心疾患、閉塞性動脈硬化症、重金属解毒)などがあります。 その多くは20年以上の歴史とエビデンスが積み重ねられ、クリニカルトライアルにも行われています。しかし、これら点滴療法が欧米における統合医療の標準治療であるにも関わらず、日本ではまた普及していません。 講演は、これらの点滴療法の概要、事例を動画などで紹介し、具体的な点滴処方についても紹介しています。

特別講演

講演1 京都大学大学院人間・環境学研究所の森谷敏夫教授による「生活習慣病における運動と栄養の役割」
<講演概要>最近肥満していても運動習慣がある人の方がスリムで身体的不活動な人たちより圧倒的に病人の罹患率や死亡率が低いことが報告されています。軽い歩行程度の運動でも、骨格筋から免疫強化や生活習慣病の要望・改善につながる多数の遺伝子をONにするマイオサイトカイン(筋由来生理活性物質)が放出されることも明らかにされつつであります。糖尿病、肥満症の患者はもとより肥満の小児や中年男女性に習慣的な運動を励行すべきで、まさに厚生労働省が推奨している「1.運動、2に食事、しっかり禁煙、最後にクスリ」であります。 最新の研究成果を自らの体験と共に、運動が大脳に及ぼす影響について、運動中に増加する脳由来神経栄養因子(神経可塑性、神経栄養伝達、及び脳神経細胞保護の多岐にわたる機能をもつ)を中心に解説しています。
講演2 国際人体機能改善センター所長ロナルド・E・ハニハイキ先生による「高濃度ビタミンC点滴によるがん治療」
講演3 シャクター補完医療センター院長マイケル B. シャクター先生による「がん患者のための栄養補給とライフスタイル提言」
講演4 金城学院大学薬学部の特任教授、「脂質栄養」オープン・リサーチ・センター長の奥山治美教授による「癌予防のための脂質栄養」
<講演概要>脂質栄養は多種の癌と深く関わっているが、その機構は単純ではありません。摂取油脂の少なくとも二種の因子、脂肪酸組成と微量因子、とコレステロールを考慮する必要があります。 リノール酸系とα―リノレン酸系の比が高いと、膜リン脂質のアラキドン酸/エイコサペンタエン酸比が高くなり、アラキドン酸カスケードが亢進して炎症が持続し、発癌を促進します。 このカスケードを抑える栄養学的、薬理学的、遺伝子工学的手法が、発癌予防に有効であります。一方、数種の植物油脂は脂肪酸組成にかかわらず、発癌を異常に促進します。この作用は未同定の微量因子によると考えられます。 数種の癌について、動物実験の結果と疫学調査の結果に見かけ上の矛盾点があるが、これら二種の因子とコレステロールを考慮に入れることによって、癌予防の脂質栄養をより明確に提案できます。